日本人5人に1人の目に潜む“まつ毛ダニ”とは?
まつ毛の根もと、毛根を包む毛包(もうほう)の周辺に棲みつくダニは、
人を含む哺乳類の皮膚に寄生するダニの1種です。
正確には、和名を「ニキビダニ」、学名を「Demodex(デモデックス)」といい、
「まつ毛ダニ」というのは通称です。
皮脂の多い顔によく見られることから、以前は顔ダニという別の通称で呼ばれて話題になったこともあります。
ニキビダニには、毛根周辺に棲むタイプと皮脂腺の中に棲むタイプがあり、まつ毛ダニは前者です。体長は最大0.4mmほどで肉眼で見えませんが、顕微鏡では簡単に見ることができます。
提供:坪田一男
まつ毛ダニは、日本人の5人に1人に存在しているとの報告があります。
まつ毛ダニに限らず、ニキビダニの仲間は、ニキビなどの肌のトラブルが特になくても見つかることがあり、まつ毛ダニも見つかったから即危険であるということはありません。高い病原性も確認されていません。しかしアレルギー反応を起こして、かゆみや炎症の原因になる可能性はあり、悪化すると患部がひどく腫れてくることもあります。毛根周辺で炎症が起きると「まつ毛が抜けやすくなる」ことにも繋がります。そのほか目がごろごろする、目がかゆい、ものもらいがよくできる、などの目のトラブルがまつ毛ダニによって引き起こされる可能性があります。
まつ毛ダニの厄介な点は、1度棲みつくと簡単には取り除けないことです。手で擦って潰れたり、ちぎれたりしても頭が残っていると体は再生するほど強い生命力を持っています。駆除するために専門医にかかって長期間の治療が行われることもあり、最悪の場合、手術で取り除くこともあります。
そこで目もとの専用洗浄料なら
まつ毛ダニは酸化した脂を栄養とするため、皮脂汚れやアイメイクが残ったままにして寝てしまうようなことをすると、繁殖しやすくなります。よって日常生活における対処法は、目もとを清潔にすることです。目もとは洗いにくい場所ですが、目もと専用の洗浄料なら、目にやさしいので、安心して目の縁まで洗うことができます。
提供:坪田一男
アイシャンプーによるまつ毛ダニの除去効果については、科学誌に論文としても発表されています。
慶應義塾大学医学部眼科学教室のチームが2021年3月、「Journal of Oleo Science」という科学誌に発表したもので、2016年6月~2018年6月の2年間に眼瞼炎の症状があってまつ毛ダニがいると診断された患者5人に1日1回アイシャンプーを使ってもらった結果を報告しています。
5人のうち途中で経過が追えなくなった1人を除く4人で、まつ毛ダニが完全にいなくなり、炎症症状も消え、再発もなかったと言います。
副作用もなく、研究チームはまつ毛ダニの除去にアイシャンプーが有効なこと、ひいてはまつ毛ダニの影響で起きやすい難治性のマイボーム腺機能不全(MGD…まぶたの縁にある皮脂腺=マイボーム腺が詰まる疾患)の治療にアイシャンプーが効果的であると指摘しています。
この論文の例以外にも、眼科クリニックでまつ毛ダニが確認された方に
1週間継続してアイシャンプーを使っていただいた結果、
まつ毛ダニが消え、目もとの健康状態が改善した――などという
眼科専門医の先生方からの報告は、多数いただいています。
目もとは毎日清潔に保ち、
まつ毛ダニのいない健康で
美しい目を維持しましょう。